大好きになった人に処女を捧げようとしたものの、痛みで挿入することができず、その気まずさから別れることになってしまった。 このような経験をし、次の恋に臆病になってしまう人もいます。 初めてで不安な人、初めてのセックスで痛くて入らなかった人のためになれば幸いです。
初めての痛みに耐えきれず、性交痛の壁に阻(はば)まれた女性は、「セックスは気持ちのよいもの」と聞いても信じられないでしょう。
しかし未経験者や経験の浅い女性の性交痛は一時的なことも事実です。
この記事では、処女の方のセックスで痛みが走る原因と性交痛を乗り越える方法について解説します。
処女膜とは
まず処女の方が感じる痛みの主な原因である処女膜に関して説明します。
処女膜は正確には膜ではなくリング状
処女膜は実はリング状になっていて、膣口に張りついています。膣口とは、膣の入り口付近の部位のことです。「処女膜を破る」という表現があることから、金魚すくいの道具のように膣口を1枚の膜が塞いでいるイメージを持っている人もいますが、そのようなことはありません。
処女膜がリング状になっているからこそ(膣口をふさいでいないからこそ)、処女の人でも生理のときに経血が膣口を通過して体外に排出されるのです。
初めてのセックスで出血するのは、男性器がこのリング状の処女膜を通り抜ける際に切れ目が入るからです。
強引な挿入によって傷がついて出血する場合も
初めての性交では緊張していることから膣が緊張状態にあるケースが多く、思っているよりも中が狭くなっているケースは珍しくありません。初体験は痛いものと思い込んでいるケースで、男性側にも経験が少ないと、狭くなっている膣に強引に陰茎を挿入して傷がついて出血につながりる場合もあります。
膣内部は非常にデリケートな組織になっているため、処女膜の破れなどとは関係なく傷がついてしまい出血してしまう可能性もあるため、パートナーに理解してもらいゆっくりと挿入してもらうことが必要です。
他の人より痛い?!処女膜に問題があり感じる痛み
処女の人を襲う性交痛の大半は、処女膜が裂けることで生じますが、それだけではありません。
処女膜に問題があり、他の人よりも強く痛みを感じる場合もあります。
主な原因としては以下の2つが挙げられます。
- ・処女膜強靭症
- ・処女膜閉鎖症
それぞれ解説します。
処女膜強靭症
処女膜の大半は軟らかいのですが、硬い処女膜を持つ人がいます。また、通常の処女膜は厚さ1ミリほどですが、1ミリより厚くなっている場合もあります。処女膜がそのように頑丈な状態だと、陰茎の挿入によって女性に強い痛みや大量の出血をもたらします。
これを処女膜強靭症といいます。本来であれば初めての性交時に処女膜は破けるケースがほとんどですが、処女膜強靭症では複数回の性交によって破けていくのが特徴です。
処女膜閉鎖症
処女膜が厚くなりすぎて膣口をふさいでしまうことがあり、これを処女膜閉鎖症といいます。この場合膣口をふさいでしまっているため月経がきているにも関わらず経血が排出されません。生理がこなくて婦人科を受診したところ、処女膜閉鎖症が見つかることもあります。
処女膜閉鎖症では、挿入できないどころか自分の指を入れることもできません。
また生理の周期に合わせて、一か月に1回下腹部への痛みが繰り返し生じます。
症状が悪化すると、頻尿や便秘の症状を引き起こすため注意が必要です。
処女膜以外の原因で引き起こされる性交痛の痛み
続いて処女膜とは関係なく、処女の人が経験する可能性がある性交痛を紹介します。
膣分泌液不足(いわゆる濡れない状態)
膣分泌液不足では女性側が性交時に十分な性的興奮を得られていない状態で起きやすく、潤いが足りず挿入がスムーズにできません。
処女の場合は緊張感や怖いと感じる不安が大きく、性的な興奮に繋がらないことから、膣分泌液不足が引き起こされます。
そのため不安を極力減らし、しっかりと前戯を行い十分に濡らしてから挿入をするのが大切です。
摩擦による痛み
性交時には膣内で陰茎が膣壁に擦れる動作を繰り返すため、十分に濡れていない状態では摩擦が大きくなって痛みを伴います。
摩擦は十分に濡らすことによって抑えられるので、パートナーと相談しながら性交を進めていけば解決が可能です。
摩擦による痛みを感じたら一度挿入を中断し、濡らしてから再開するようにしましょう。
膣の伸縮性のなさによる痛み
膣内に異物を入れて動かす経験が処女の方は少なく、異物が出し入れされることによって発生する伸縮に慣れていないといえるでしょう。
伸縮時には慣れていないと痛みが発生するのに加えて、緊張をしていると膣がこわばっているのでさらに伸縮性が失われてしまいます。
伸縮性を取り戻すためには、リラックスして全身の力を抜くことが大切です。
痛みを感じれば感じるほど、全身に力が入るため痛みを感じたらできるだけパートナーに伝えることが大切です。
ゴムアレルギー
ゴムアレルギーがある女性の場合は、アレルギー反応によって、性交時に痛みやかゆみを生じる可能性が高いです。
ゴムアレルギーの場合、ラテックス製以外のコンドームの使用をおすすめします。ゴムアレルギーに関わらず使用していると、体調不良などにもつながる可能性もあるので注意しましょう。
パートナーの間違った性交
男性によっては激しく動けば女性が気持ちよくなると思っているケースや、以前のパートナーとの性交内容で性交をするパターンもあります。
間違った性交では痛みが発生しやすいので、痛い場合にはパートナーにしっかりと伝えるようにしましょう。自分が初めてで間違っていると思わずに相談することが大切です。
その他の痛みの原因
性交が終われば痛みもなくなりますが、次にまた性交するときに痛みが走ることも。適切な性交を何回しても痛みが治まらない場合は病気が潜んでいるかもしれません。
性交痛の痛みの種類を知っておいてください。原因についても把握しておけば対策も立てやすくなるので、痛いと感じる原因も把握しておくことが大切です。
奥が痛い場合は浅く挿入してもらう
ポルチオ性感帯は快感を生みますが、経験が浅いころは痛みの原因になることも。浅く挿入してもらい、陰茎がポルチオ性感帯に触れないようにしましょう。
無理やり奥まで入れずに最初は浅い部分で慣らすようにしてください。
また、奥まで入れるのが怖いなら、怖いとパートナーに伝えることも重要です。
高齢処女の場合、痛みが激しいかも
膣の伸縮性が失われると痛みが増えることも。40歳以上の処女の人のことを高齢処女と呼ぶことがあります。
高齢処女の場合はいきなり挿入することは避けて、ゆっくりと慣らして十分に濡れてから挿入などをおこなってください。
痛いと感じた段階で対策を取ることが大切です。
吐き気がするほどなら感染症かも
吐き気がするほどの痛みなら感染症の可能性もあるため、自分だけで判断せずに産婦人科に相談してください。
初期段階であれば比較的簡単に治療できますが、進行していると治療までに時間がかかるかもしれません。
処女の方の性交痛への対処法
性交痛への対処方法について、5つ紹介します。
しばらくは挿入以外の方法でオーガズムを得る
パートナーに少し膣を触られただけで痛みが走る場合、しばらく陰茎の挿入は見送ったほうがよいでしょう。
それでも好きな人と体を触れ合わせたいと思います。その場合は、胸や手足、口、バイブレーターなどで快感を与えあうことが推奨されます。
挿入だけでオーガズムを得なければいけないわけではなく、さまざまな方法があります。
慣れてくるまではそういった別の方法でオーガズムを得ることも必要でしょう。
潤滑ゼリーの利用
緊張で膣分泌液の出が悪い場合、潤滑ゼリーを使いましょう。潤滑ゼリーは性交や挿入をスムーズにしてくれる効果があります。
実際に性交を何度もしている人でも積極的に潤滑ゼリーを使用している人も多くいます。
潤滑ゼリーはローションとは異なり、膣内専用となっています。
潤滑ゼリーの種類としては、日本家族計画協会医学委員会 とジェクス が日本で初めて共同で開発したリューブゼリーがおすすめです。
体調を万全にして臨む
疲労、水分不足、緊張、不安、ストレスが痛みを増すことがあるため、初めての性交の場合は体調を万全にしておくようにしましょう。自分自身で思っているよりも体調は性交に大きく関係しています。
前戯に時間をかけてもらう
膣以外の体の部位を触ってもらうことで、快感が得られます。ただし男性によっては前戯を雑におこなう可能性もあるため、先に前戯に時間をかけて欲しいと伝えておくことが大切です。
マスターベーションが推奨されることも
性交時には緊張感などから痛みを感じてしまうケースも多いことから、ラブグッズなどを用いてマスタベーションをして慣らすことも大切です。マスタベーションをしておけば膣壁などが伸縮に慣れていて痛みが軽減される可能性があります。
治療
処女膜強靭症や処女膜閉鎖症など、処女膜に異常が認められる場合、婦人科形成などで処女膜を切って広げる手術があります。
どうしても男性器の挿入が難しい場合などには婦人科形成に相談して、処女膜に異常がないかどうかを確認してもらうことが大切です。
当院でも処女膜切開の手術を行っています。
性交痛を専門とする女医の院長がカウンセリングからそれぞれにあった治療を提案するため、少しでも悩みがある場合はぜひ相談してください。
まとめ
処女の人の性交痛は一時的なものと考えて間違いありません。ただし、痛みが激しい人も存在し「乗り越えられない」「性交なんて無理」と感じてしまう女性がいるのも事実です。無理に我慢せず、対処方法をためし痛みをできるだけ軽減し乗り越えるようにしましょう。
満行 みどり
略歴
国立佐賀医科大学(現佐賀大学)医学部卒業。その後九州大学医学部付属病院第二外科、佐賀県立病院などで外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
聖心美容外科東京院、大阪院、福岡院にて勤務後、横浜院院長、全国診療医長を歴任。
婦人科形成、脂肪吸引を始めとする多くの症例に携わる。
レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。また「女性器形成」「女性性機能障害」のスペシャリストとして、様々な論文執筆、講演会、ドクターへの指導を行う。
資格
所属学会