「過去にセックスの時に激痛が走ったことがある」
「性交痛が怖い……でも今のパートナーともっと仲を深めたい」
過去に性行時で痛みを感じた方は、こういった悩みや不安をお持ちなのではないでしょうか。30代女性の6割以上が性交痛に悩んでいるというアンケート結果もあり、セックスにおける代表的な悩みと言えます。今回の記事では、痛みが起こる原因や解消方法、性交痛の相談先について解説します。
1. 30代の6割が抱えている性交痛の悩み
性交痛とは、セックスをする際に生じる痛みの総称のことです。痛みを感じるタイミングや痛む場所は、人によってさまざまな種類があります。例えば、膣の入り口付近で感じる痛みもあれば、膣の奥で痛みを感じる場合もあり、それがセックスの最中であったり前後であったりもします。
痛みの代表的な原因は、ホルモンバランスの乱れによる「うるおい不足」と言われますが、更年期を迎えていない30代でも性交痛の症状は珍しくありません。JEX JAPAN SEX SURVEY 2020年アンケート調査によると、30代女性の63.5%が性交痛に悩んでいるという結果も出ています。
2. 性交痛の原因
性交痛の原因は、肉体的な問題・精神的な問題の大きく2種類があります。この章では、膣が痛くなる原因についてそれぞれのケースで解説します。
性交痛の原因:精神的な問題
膣の痛みは、物理的な要因だけではなく、精神状態も影響します。どのような状態だと痛みを感じやすいのか、順番に見ていきましょう。
過去のトラウマ
過去に自分が感じた性へのトラウマが性交痛につながることがあります。例えば、過去に電車で痴漢に逢ったことがある・会社で度を越したセクハラを受けた経験があるなど、性に対するネガティブな経験がトラウマになり、性行時に痛みとして現れるケースです。そうなると、好きな相手だったとしても嫌悪感が生じることで濡れにくくなり、痛みの原因となってしまいます。
ストレスや不安
性交痛は、ストレスや不安を抱えていてもあらわれます。膣は、ほんの少しでもストレスを感じると潤わなくなるほど敏感な器官です。セックスの最中に「痛い」と感じただけでも、すぐに乾きはじめます。セックス中に痛みを感じた経験があると、次も痛いのではないかと不安になり、今度は体がこわばりやすくなります。膣は筋肉なので、体が緊張すると膣はしなやかに動かせません。体が硬くなっていると性交時に痛みを感じやすくなってしまいます。
性交痛の原因:肉体的な問題
次に、肉体的な要因で起こる性交痛について解説します。
子宮筋腫
子宮筋腫は子宮の壁にできるコブのような良性の腫瘍のことです。発生した筋腫がセックスの際に動くことで痛みが生じる場合があります。筋腫が発生する原因は解明されていませんが、幼少期には症状がなく、成人年齢を迎えたあたりから筋腫の症状があらわれ、閉経後に小さくなる特徴があることから、女性ホルモンであるエストロゲンが関係していると言われています。性交時の痛み以外であらわれる主な症状は、過多月経・過長月経・月経痛です。
子宮内膜症
子宮内膜症とは、本来子宮の内側にあるはずの組織が、子宮以外の場所で発生してしまう疾患のことです。子宮内膜症である女性の半数以上がセックスの前後に性交痛があると言われています。発症の原因は、月経時に体外に排出されるはずの組織が、一部逆流を起こし、骨盤内に侵入することで子宮内膜症になると言われています。主な症状は子宮筋腫と同様に、過多月経・過長月経・月経痛など、月経時の変化です。
子宮膣部びらん
子宮膣部びらんとは、子宮の入り口である子宮頸部が赤くただれているように見える状態のことです。多くは目立った症状のないまま経過しますが、炎症を合併すると性交痛が生じることがあります。子宮膣部びらんは病気ではなく、月経のある女性にはごく普通に見られる症状です。女性ホルモンが活発な時期に発症することが多いことからエストロゲンが関係していると言われています。その他の症状は、腰痛や頻尿、不正出血などが挙げられます。
小陰唇肥大
女性器のふっくらとした部分を大陰唇と言い、その内側にある左右一対のヒダを小陰唇と言います。小陰唇肥大とは、そのヒダの部分が成長と共に大きくなってしまうことです。ヒダが大きくなると、性交時にヒダが膣側に巻き込まれてしまい、痛みが生じることがあります。小陰唇が大きくなる主な原因は遺伝です。その他、加齢などでコラーゲンが減少し、ハリがなくなることで大きくなったように見えることもあります。性交痛以外の主な症状は、かゆみや尿の飛び散りです。
処女膜強靭症
処女膜強靭症とは、本来柔らかいはずの処女膜が硬い状態であることです。処女膜が厚くて硬いと、性交時に破れたり伸びたりしないため、痛みを伴います。原因は生まれつきであることが多く、改善する場合はクリニックで処女膜の切開や切除をするなど治療を受ける必要があります。
膣の乾燥
性交痛の代表的な原因と言われるのが、膣が乾燥することによる「うるおい不足」です。膣が潤っていない状態で性交渉をすると、挿入時に膣口を傷つけてしまい、ヒリヒリするような痛みが生じてしまいます。主な原因はホルモンバランスの変化ですが、不安や緊張など精神的な要因が関連することもあります。
性交痛の解消法
性交痛の原因によってはセルフケアで改善できるものもあります。ここでは、自宅でできるケアと、診察するなら何科に行けばいいのかを解説します。
潤いを補うグッズを使う
うるおい不足が原因であれば、潤滑ジェルやローションを活用しましょう。膣の乾燥を防ぐことで、物理的にペニスの挿入がスムーズになるからです。とくにリューブゼリーは、産婦人科やクリニックでも数多く推奨されている性交痛を緩和させるアイテムです。デリケートゾーンのうるおい不足が考えられる方は利用してみましょう。
パートナーと話し合う
性交時の痛みについて、パートナーと話し合うのも解消法として有効です。セックスへの不安を抱えたままだと、今後の2人の関係がギクシャクしかねません。前戯を長くしてほしい、ゆっくり挿入してほしい、など、抱えている要望を伝えることで緊張や不安を軽減しやすくなります。
医師に診察してもらう
ここまで、セルフケアで改善できる方法について解説しました。しかし、前述した通り、痛みの原因が婦人科系の病気である可能性もあります。セルフケアで改善しなかった場合は、医師に診察してもらいましょう。性交痛の相談先には、婦人科と婦人科形成の2つがあります。
婦人科に相談する
婦人科では、月経・妊娠・更年期など、女性の特有の悩みを解決してもらえます。婦人科系の病気が考えられる場合には、婦人科で診察してもらいましょう。
婦人科形成に相談する
婦人科形成とは、女性器の美容的な悩みに特化したクリニックのことです。悩みの原因が婦人科系の病気以外である場合は、婦人科形成で解決できることが多いです。処女膜の切開や、小陰唇のヒダの切除など、婦人科で対応していない治療もできるので、改善がみられなかった場合には、婦人科形成での診察も検討しましょう。
まとめ
今回の記事では、30代の6割以上の方が悩みを抱えている性交痛の原因や解消法について解説しました。性に関する悩みは人に相談しづらく、1人で抱え込むケースも珍しくありません。当クリニックでは、プライベートに徹底配慮しており、完全予約制で患者様が貸切の状態で診察を受けられるように実施しています。性交痛にお悩みの方は、ぜひ1度カウンセリングにきてください。
満行 みどり
略歴
国立佐賀医科大学(現佐賀大学)医学部卒業。その後九州大学医学部付属病院第二外科、佐賀県立病院などで外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
聖心美容外科東京院、大阪院、福岡院にて勤務後、横浜院院長、全国診療医長を歴任。
婦人科形成、脂肪吸引を始めとする多くの症例に携わる。
レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。また「女性器形成」「女性性機能障害」のスペシャリストとして、様々な論文執筆、講演会、ドクターへの指導を行う。
資格
所属学会