性交痛は、主に膣の潤い不足や形状によるものが多く考えられますが、まれに婦人科の疾患が原因となる場合もあります。特に膣奥で感じる痛みは、婦人科の問題が影響する可能性があります。性交痛には、婦人科や婦人科形成で治療が可能で、正しいケアを行うことで改善できるでしょう。まずは痛みの原因を確認し、適切な治療を受けることが重要です。
本記事では、性交痛の原因と適切な対処方法について紹介します。
目次
性交痛の原因
性交痛には、下記の原因が考えられます。
・婦人科の病気
・膣内の潤い不足
・膣の入り口が狭い
ここでは、性交痛が起こる原因について解説します。
婦人科の病気
最も注意すべき性交痛の原因として、婦人科の疾患があります。主な病名としては、卵巣嚢腫や子宮内膜症、クラミジア感染症などが挙げられます。子宮内膜症は子宮内膜が異常に成長し、性交時に刺激を受けることで激しい痛みが生じる場合があります。一方、卵巣腫瘍は初期段階では症状がほとんど現れませんが、腫瘍が大きくなるにつれて下腹部の痛みや性交時の痛みが増す可能性があります。性交痛が続く場合は、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
膣内の潤い不足
緊張やストレスの影響で膣の潤いが低下し、摩擦による痛みを感じている方が多いです。ストレスや緊張が続くと、膣の潤いが減少します。その状態で挿入をすると、摩擦が増加し痛みを引き起こしてしまうでしょう。膣は非常にデリケートで、些細なストレスでも潤いが減少することがあります。また、パートナーとのコミュニケーション不足や適切な前戯がないことも、膣の潤い不足と性交痛に繋がります。
膣の入り口が狭い
生まれつき、膣の入り口が狭い場合は、性交痛が生じる場合があります。個々の性器の形や位置、膣の広さ、処女膜の厚さなどは生まれつき異なり、これらの身体的特徴が性交痛に関係する場合があります。膣の入り口が狭いと、挿入時に摩擦が増し、痛みを感じる女性が多いでしょう。体の特徴による性交痛は、適切な前戯や潤滑剤の使用、リラックスした状態での性行為などで和らげることができます。しかし痛みが持続する場合には、医師の診断と指導を受けることが重要です。
性交痛を感じる場所
性交痛の痛みを感じる場所は、主に2箇所になります。
・膣の奥
・膣の入り口
痛みの場所によって原因が異なり、婦人科の病気の可能性もあるため注意しましょう。
膣の奥
性交痛が膣の奥で感じられる場合は、婦人科の病気の可能性が考えられます。奥側の痛みは、クラミジア感染症や卵巣腫瘍、内臓の癒着や炎症が関係している場合があります。これらの疾患は進行すると不妊症の原因にもなるため、早い段階での診察が重要です。早めの対処が、健康な性生活と将来の健康を守ることに繋がります。
膣の入り口
膣の入り口で感じる痛みの場合、潤い不足や緊張、膣の入り口が狭いことが関係しているでしょう。強い緊張感は、膣の筋肉を過度に収縮させ、痛みを引き起こす場合があります。また、疲労やストレスによる免疫力の低下も、膣内に影響を与える可能性があるでしょう。他にも処女膜が通常よりも厚い場合、処女膜強靭症と呼ばれ、手術が必要なケースもあります。性交痛が膣の入り口付近で起きる場合は、潤滑剤の使用やリラックスした状態での性行為が緩和に役立ちます。しかしそれでも痛みが続く時は、クリニックへの受診を行うと安心です。
性交痛の治療ができる病院
性交痛の治療には、一般的に下記の病院で治療が行われます。
・婦人科
・婦人科形成
婦人科と婦人科形成は共に医療機関ですが、それぞれ治療できる内容が異なります。ここではそれぞれの特徴と違いについても解説します。
婦人科
婦人科は、女性の健康に特化した医療機関です。主に、女性特有の疾患や問題に対する治療を行っています。例えば、月経障害や妊娠に関すること、子宮筋腫などの一般的な女性疾患の知識を備えており、診断や検査、治療を行います。しかし、女性器の美容や機能に関する悩みには、専門的な知識が不足することがあるため、抱えてる問題に適した医療機関の受診が必要でしょう。婦人科は女性の健康全般をサポートする重要な医療機関であり、適切なアドバイスと治療を提供しています。
婦人科形成
婦人科形成では、女性のデリケートゾーンの悩みに対する治療を行う病院です。女性の悩みに特化した婦人科形成は、性交痛や不快感に対する専門的なケアを提供してくれるでしょう。他にも性交痛だけでなく、膣の形状や外観、尿漏れなどの悩みも専門であり、ニーズに合わせた治療が可能です。特に性交痛の場合、婦人科形成では、痛みの原因を根本的に改善する治療に注力しています。性交痛でお悩みの方は、婦人科形成で相談してみると安心できるでしょう。
性交痛の治療目安
性交痛の治療目安は、「性交時に激しい痛みがある」「頻繁に痛みを感じる」「痛みが長時間続く」時です。性交時やその後に痛みを感じる背後には、生理的な要因や炎症、感染症などが考えられます。その場合、専門医による診断と適切な検査を行うことで根本的な原因を特定し、適切な治療法が見つけられるでしょう。性交痛でお悩みの方は、早めに受診を行い、痛みの軽減や健康な性生活の回復に向けて取り組むことが重要です。専門医のケアを受け、健康と性生活を向上させるための対処法を見つけましょう。
性交痛の治療法
性交痛の治療は、さまざまな方法があります。
・インティマレーザー
・処女膜切開手術
・ピルを用いたホルモン療法
症状に合わせ、適切な治療を行うことが大切です。
インティマレーザー
インティマレーザーは、膣にレーザーを照射し、膣内環境を整える治療方法です。膣の環境を整えることで、乾燥状態の緩和や性交痛の改善が期待されます。この方法は痛みや出血がほとんどなく、安全性が高いと言われており、効果的に性交痛を改善できる方法です。施術自体も時間がかからず、ダウンタイムも短いため、通常の日常生活に影響を与えません。また、インティマレーザーは、膣の引き締め効果や尿漏れの改善、黒ずみの解消にも効果があることが知られています。性交痛の治療法として、インティマレーザーはおすすめの治療法と言えるでしょう。
処女膜切開手術
処女膜切開手術は、膣の入り口を広げるために行われる治療法です。この手術は、硬い靭帯を除去して、膣の入り口を広げることで痛みを軽減します。性交痛が膣の狭さからくる場合、処女膜切開手術は効果的な治療方法となります。処女膜切開手術は、非常にデリケートな部分の手術です。手術を行うクリニックによって、術後の見た目や膣のバランスが異なる可能性があります。そのため安心して手術ができるクリニックを見つけることが大切です。
ピルを用いたホルモン療法
ピルを服用するホルモン療法は、膣の潤い不足を解消し、性交痛を緩和する治療法です。女性ホルモンは、膣の潤いに欠かせない役割を果たしています。そのためホルモンバランスを整えることで性交痛が軽減する可能性があります。またホルモンバランスの乱れは、性交痛だけでなく、体全体の不調に繋がりかねません。だからこそ、適切なケアが非常に重要です。ピルは症状や体質に合わせて処方されるため、安心感を持って取り組めます。ピルを用いたホルモン療法は、性交痛の軽減だけでなく、体全体の健康向上にも繋がる治療法です。
まとめ
性交痛の原因は、潤い不足や膣の大きさ、婦人科の病気の可能性が挙げられます。性交痛は、デリケートな悩みであるため、誰にも相談できずに一人で悩む女性も少なくありません。当院では、カウンセリングから治療まで、経験豊富な女性医師が担当させていただきます。痛みを我慢せず、まずは一度お気軽にご相談ください。
満行 みどり
略歴
国立佐賀医科大学(現佐賀大学)医学部卒業。その後九州大学医学部付属病院第二外科、佐賀県立病院などで外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
聖心美容外科東京院、大阪院、福岡院にて勤務後、横浜院院長、全国診療医長を歴任。
婦人科形成、脂肪吸引を始めとする多くの症例に携わる。
レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。また「女性器形成」「女性性機能障害」のスペシャリストとして、様々な論文執筆、講演会、ドクターへの指導を行う。
資格
所属学会