40代の性交痛は、女性に多い悩みの一つですが、特にホルモンバランスが乱れやすい40代の女性に多く見られます。40代の女性の体では、閉経に向けて女性ホルモンが減少し、さまざまな不調が現れます。他にも性交痛は、膣の形状や精神的な問題、婦人科の病気などの可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、性交痛の原因と改善方法を紹介します。性交痛はデリケートな問題ですが、信頼できるクリニックで相談することをおすすめします。
目次
40代に多い性交痛とは?
40代の女性は特にホルモンのバランスが崩れやすく、性交痛を訴える方が多く存在しています。閉経に向けて女性ホルモンが減少し、体調の乱れが目立つ時期と言えます。また、膣の機能が低下し、潤い不足が起きることも原因の一つです。年齢とともに卵巣の機能が低下し、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するため、体内のバランスが乱れ、多様な不調が現れることもあります。40代女性の体では、膣の血流低下が乾燥や感染を引き起こしやすくなることも知られています。40代に多い性交痛は、女性ホルモンが減少することで、膣の潤い不足や心理的要因など、多くの原因が関係している複雑な問題です。
性交痛が起こる原因
性交痛は、一般的に下記の原因が考えられます。
・膣が生まれつき小さい
・潤い不足
・処女膜強靭
・婦人科の病気
ここでは性交痛の原因について解説します。
膣が生まれつき小さい
生まれつき膣が小さい方は、性交時に痛みを伴う方がいます。膣のサイズは人それぞれ異なるため、小さな膣を持つ方は性交痛を感じやすい傾向です。この痛みは、身体的な面だけでなく精神的な面でも影響を与えます。膣が小さいことで感じる痛みは、骨盤底筋と呼ばれる筋肉が関係しているのです。この筋肉が過度に収縮することで、膣が緊張し、膣口が狭く感じる方がおられます。膣が小さいことや骨盤底筋が過剰に収縮することで、性交痛を引き起こす可能性が考えられます。
潤い不足
膣内の潤い不足は、性交時に摩擦が生じ痛みを感じやすくなります。膣の潤い不足には、ストレスや極度の緊張などが関係しており、膣の分泌液を減少することで、性交痛を引き起こす場合があります。この問題は、女性だけでなく男性側にも協力を得て二人で解決していく必要があるでしょう。膣の潤いが不十分で起こる性交痛には、パートナーとのコミュニケーションとリラックスが欠かせません。また必要に応じて潤滑ゼリーの使用や、専門医のケアも検討してみるといいでしょう。
処女膜強靭症
処女膜強靭症は生まれつき処女膜が固く、性交時に挿入できない場合や強い痛みを感じる状態です。処女膜とは、膣の入口近くにある薄い粘膜であり、一般的に性行為を体験することで破れ、痛みが和らぐ傾向です。しかし処女膜が通常よりも厚く硬化している方は、挿入時の強い痛みや多量の出血を伴うケースがあります。主な原因は生まれつきによるものが多いですが、まれに後天的なケースも存在します。処女膜強靭症による性交痛は、適切な治療が必要で、症状によっては手術が検討されることもあるため、早めにクリニックの受診を検討しましょう。
婦人科の病気
婦人科の病気が原因で、性交時に痛みを伴う場合があります。一般的には、婦人科の病気で日常的に不調を感じないことも多く、気付いた時には病状が進行していることがあります。婦人科の病気による性交痛は、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣の嚢腫などです。これらの疾患は腹痛や月経不順などの症状とともに、性交痛を引き起こすことがあります。早期の診断と適切な治療が重要と言えるでしょう。日常生活では不調を感じずに、「気付いた時には病状が悪化していた」ということも起こり得るので、特に婦人科の病気には注意が必要です。
性交痛の改善方法
ここでは、性交痛の改善方法を2種類紹介します。
・クリニックで治療を行う
・潤滑ゼリーを使用した痛みの緩和
性交痛でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
クリニックで治療を行う
性交痛の治療は、クリニックで行うことが可能です。専門知識を備えたクリニックでの治療は、性交痛を根本的に解決できます。特に40代の女性に多い潤い不足が原因による性交痛には、インティマレーザーによる治療が推奨されています。この治療はメスを使用しないため、体への負担が少なく、安全性が高いです。レーザーを膣内に照射することで、膣の環境を整え、弾力性を向上させます。膣の弾力性を増すことで、乾燥を防ぐことで痛みの緩和に期待できるでしょう。性交痛の改善を目指す方は、クリニックで行うインティマレーザー治療が効果的で安全な選択肢と言えます。
潤滑ゼリーを使用した痛みの緩和
性交痛の主な原因である潤い不足を緩和する方法として、潤滑ゼリーの使用が挙げられます。潤滑ゼリーは性交時の痛みや不快感を和らげ、年齢を問わず多くの人に利用されています。このゼリーを使用することで、膣内に自然な潤いを再現し、滑らかで痛みの少ない性行為が可能です。潤滑ゼリーは手軽に利用できるため、性交痛を和らげるアイテムとして多くの方が活用しています。正しく使用することで、性交痛の改善に繋がるでしょう。
性交痛を感じる場所によって治療法が異なる
性交痛を感じる場所は、膣の奥と膣の入り口の2箇所であり、それぞれ治療法が異なります。膣の奥側で感じる痛みは、婦人病の可能性があります。主な婦人病は、子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症です。そのため婦人病による性交痛は、医師による診察や検査、治療が必要になります。一方、膣の入り口で痛みを感じる時は、主に膣の潤い不足が原因として挙げられます。そのため、インティマレーザー治療や潤滑ゼリーを使用し、潤い不足を解消することで、性交痛の改善に繋がります。
性交痛の治療内容
一般的に用いられる性交痛の治療には、下記の方法があります。
・インティマレーザー
・処女膜切開手術
・ピルを使用したホルモン療法
ここではそれぞれの治療の特徴や、期待できる効果について解説します。
インティマレーザー
インティマレーザーは、膣にレーザーを照射し、膣内環境を整える治療方法です。膣の環境を整えることで、乾燥状態の緩和や性交痛の改善が期待されます。この方法は痛みや出血がほとんどなく、安全性が高いと言われており、効果的に性交痛を改善できる方法です。施術自体も時間がかからず、ダウンタイムも短いため、通常の日常生活に影響を与えません。また、インティマレーザーは、膣の引き締め効果や尿漏れの改善、黒ずみの解消にも効果があることが知られています。性交痛の治療法として、インティマレーザーはおすすめの治療法と言えるでしょう。
処女膜切開手術
処女膜切開手術は、膣の入り口を広げるために行われる治療法です。この手術は、硬い靭帯を除去して、膣の入り口を広げることで痛みを軽減します。性交痛が膣の狭さからくる場合、処女膜切開手術は効果的な治療方法となります。処女膜切開手術は、非常にデリケートな部分の手術です。手術を行うクリニックによって、術後の見た目や膣のバランスが異なる可能性があります。そのため安心して手術ができるクリニックを見つけることが大切です。
ピルを用いたホルモン療法
ピルを服用するホルモン療法は、膣の潤い不足を解消し、性交痛を緩和する治療法です。女性ホルモンは、膣の潤いに欠かせない役割を果たしています。そのためホルモンバランスを整えることで性交痛が軽減する可能性があります。またホルモンバランスの乱れは、性交痛だけでなく、体全体の不調に繋がりかねません。だからこそ、適切なケアが非常に重要です。ピルは症状や体質に合わせて処方されるため、安心感を持って取り組めます。ピルを用いたホルモン療法は、性交痛の軽減だけでなく、体全体の健康向上にも繋がる治療法です。
まとめ
40代で性交痛に悩む女性は多く、主にホルモンバランスや婦人病、潤い不足などが考えられます。特に40代になると閉経に向け、ホルモンバランスが崩れやすくなります。また、性交痛を経験することで、「また痛かったらどうしよう…」と不安な思いから、痛みを感じやすい環境になりかねません。性交痛の種類や原因によっては早めの診断と治療が必要な場合があります。性交痛でお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。
満行 みどり
略歴
国立佐賀医科大学(現佐賀大学)医学部卒業。その後九州大学医学部付属病院第二外科、佐賀県立病院などで外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
聖心美容外科東京院、大阪院、福岡院にて勤務後、横浜院院長、全国診療医長を歴任。
婦人科形成、脂肪吸引を始めとする多くの症例に携わる。
レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。また「女性器形成」「女性性機能障害」のスペシャリストとして、様々な論文執筆、講演会、ドクターへの指導を行う。
資格
所属学会