最終更新日：2024年1月25日
あなたは、
「セックスのときに膣の入り口付近が痛い」
「以前と比べて入り口付近の痛みが強くなってつらい」
「入り口で生じる性交痛の原因と改善方法を知りたい」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
性交痛の原因は、心身面の問題やセックスの仕方など、さまざまです。
原因は一人ひとり異なりますが、適切な対応をとることによって改善できます。
本記事では、性交痛について以下の内容を解説します。
- そもそも性交痛とは
- 入り口付近で生じる性交痛の原因
- 入り口付近で生じる性交痛の改善方法
本記事を読めば、膣の入り口付近で感じる性交痛の解決方法が分かります。
目次
性交痛とは
性交痛とは、その名の通り性交の際に痛みを伴う症状をさします。
入り口付近で生じる性交痛の原因や改善方法を解説する前に、性交痛の概要について確認しておきましょう。
性交痛はセックスのときに感じる痛みの総称
性交痛は、セックスの最中や行為のあとに生じる痛みの総称です。
性交痛は、セックスの満足度を下げるだけに止まらず、苦痛を回避しようと行為自体を避けるようになってしまいます。
セックスを避けるようになると、パートナーはあなたに「拒否された」と勘違いし、関係性の悪化につながる恐れがあります。
性交痛はデリケートな問題ですが、一人で悩みを抱え込まずに、パートナーとふたりで対処する姿勢が大切です。
性交痛を感じる場所は主に2箇所
性交痛を感じる主な場所は、以下の2箇所です。
- ・膣の入り口付近
- ・膣の奥
それぞれ解説します。
膣の入り口付近
外陰部や陰唇、膣開口部周辺の痛みを「入り口性交痛」といいます。
男性器を挿入してすぐに痛むケースが大多数を占め、うるおい不足が原因である場合が多いです。
膣のうるおいが不足するのは、心身の問題やパートナーとのセックスの方法、膣に関連する疾患など、多くの要因が絡んでいます。
膣の奥
男性器が挿入された際に、膣の奥の方で感じる痛みを「深部性交痛」といいます。
奥の方で生じる性交痛は、婦人科疾患が原因となっている場合があります。原因になる婦人科疾患は以下の3つです。
- ・子宮内膜症
- ・子宮筋腫
- ・卵巣嚢腫
上記の疾患が隠れている場合、子宮や卵巣の患部に刺激が加わると、激痛を感じることもあります。
また、ストレス状態や性的興奮が不足している場合では、膣周辺にある筋肉の過緊張や膣のうるおい不足により痛みを感じるケースがあります。
奥の方で生じる性交痛についてはこちらを参考にしてください。
性交痛を経験したことのある女性は半数以上
日本家族計画協会によると、「女性全体の62.5％がセックスで痛みを感じたことがある」としています。
引用：一般社団法人日本家族計画協会 家族計画研究センター所長 北村邦夫「第４回【ジェクス】ジャパン・セックス・サーベイ 2020」
また「痛みを経験したことがある」と回答した女性の42.2％が、セックスに「満足していない」と回答しています。
引用：一般社団法人日本家族計画協会 家族計画研究センター所長 北村邦夫「第４回【ジェクス】ジャパン・セックス・サーベイ 2020」
つまり、性交痛は多くの女性が抱える悩みであり、性交痛があるとパートナーとの性生活に影響をおよぼす可能性があるのです。
入り口付近で起こる性交痛の原因
入り口付近で起こる性交痛の主な原因は以下の3つです。
- ・身体的な問題
- ・心理的な問題
- ・疾患の影響
それぞれ解説します。
身体的な問題
入り口付近の性交痛の原因となる身体的な問題は、以下の2つが考えられます。
- ・膣の乾燥
- ・処女膜強靭症
それぞれ解説します。
膣の乾燥
「ヒリヒリと擦れるように痛い」という場合は、膣の乾燥が原因かもしれません。
乾燥による性交痛を防ぐためには、いわゆる「濡れる」状態になる必要があります。
濡れている状態でないと、摩擦により微細な傷ができ、ヒリヒリと痛みを感じやすくなるからです。
膣の乾燥を引き起こす原因は、性的な興奮の不足やホルモンバランスの乱れなど、いくつかあります。
たとえば更年期を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。すると、膣粘膜が痩せて薄くなり、膣分泌液量が減少するのです。
「膣が乾燥している」と感じる場合は、更年期によるホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。
処女膜強靭症
「膣の入り口で引っかかる感じがして痛い」という場合は、処女膜強靭症が原因かもしれません。
処女膜強靭症は生まれつき処女膜が厚く、強靭であるために、うまく挿入ができません。
処女膜強靭症による痛みは、治療をしない限り続くのが特徴です。
処女膜強靭症については、こちらを参考にしてください。
心理的な問題
性交痛には、心理的な問題が潜んでいる可能性もあります。
- ・性的被害を受けたことがある
- ・パートナーに乱雑に扱われた経験がある
- ・性に対して極端にネガティブなイメージがある
以上のような性に対するトラウマやイメージは、”ワギニスムス”を起こす場合があります。
ワギニスムスとは、セックスの際に膣口周辺部の筋肉が無意識に過剰収縮する現象です。
ワギニスムスが生じると男性器の挿入が難しく、パートナーも膣の締め付けによる痛みを感じる場合があります。
疾患の影響
膣に関連する疾患も、膣の入り口に痛みを生じる原因です。
- ・性感染症
- ・アレルギー
それぞれ解説します。
性感染症
膣の入り口付近の痛みの原因となる主な性感染症は、以下のとおりです。
- ・カンジダ症
- ・細菌性膣炎
- ・クラミジア性感染症
【カンジダ症】
カンジダ菌が膣に増殖して炎症を起こす症状です。
カンジダ菌は常在菌ですが、ストレスなどで免疫力が低下した際に、膣の自浄作用が崩れると増殖します。
カンジダ症の症状は、かゆみやカッテージチーズ状のおりものです。
症状が進行し、膣が炎症を起こすこと、入り口付近で痛みを感じるケースがあります。
【細菌性膣炎】
細菌性膣炎は、女性器の常在菌である大腸菌やブドウ球菌、溶連菌などの細菌によって引き起こされる感染症です。
感染すると、かゆみやおりものが増えるなどの症状があり、入り口付近の性交痛を感じることもあります。
【トリコモナス性感染症】
トリコモナス原虫に感染して発症するトリコモナス性感染症は、女性の場合は半数が無症状です。
症状が現れる場合は、外陰部のかゆみや膣の刺激感、性交痛、排尿時痛を伴います。
性感染症の場合は、パートナーと一緒に治療するのが完治への近道です。
上記の症状がある方は、早めに医療機関の診察を受けましょう。
アレルギー
アレルギーにより膣の入り口付近に痛みを生じるケースがあります。
コンドームに含まれるラテックスタンパク質との接触により、かゆみや赤み、じんましんを引き起こすからです。
男性器を挿入した際にだけ、かゆみや赤みが出る場合には、ラテックスアレルギーの可能性があります。
ラテックスアレルギーは、性交痛のほかにも血圧低下や意識消失など重いショック症状を起こす場合があるため、注意が必要です。
入り口付近で生じる性交痛の5つの改善方法
入り口付近で感じる性交痛の改善方法は、以下の5つです。
- ・潤滑ゼリーを使用する
- ・前戯を工夫してもらう
- ・原因疾患を治療する
- ・アレルギー検査をおこなう
- ・レーザー治療を受ける
それぞれ解説します。
潤滑ゼリーを使用する
潤滑ゼリーは、うるおい不足を補うのに効果的で、入り口付近で生じる痛みを改善できます。
当院では「リューブゼリー」という商品を取り扱っております。
自然な使用感で、セックスの際の雰囲気を壊すことなく使用できます。
無色透明・無臭で、膣に触れても害のない安全な成分で作られているためおすすめです。
前戯を工夫してもらう
パートナーに、前戯を工夫してもらうのも性交痛の緩和に効果的です。
痛みのないセックスには膣のうるおいが不可欠であり、パートナーの協力が必要だからです。
パートナーに前戯を工夫してもらうために、以下の点について伝えるようにしましょう。
- ・前戯は時間をかけてしてほしい
- ・激しい動作を避け、優しくゆっくりしてほしい
- ・十分に濡れているのを確認してから挿入してほしい
痛みを我慢してセックスを続けると、症状が悪化する可能性があります。
さらには性交痛への嫌悪感から、セックス自体を避けるようになってしまい、パートナーとの関係が悪化する恐れもあります。
デリケートな問題ではありますが、お互いに満足のできる性生活を送れるようパートナーに協力をお願いしましょう。
原因疾患を治療する
処女膜強靭症や性感染症などの、痛みの原因疾患を治療するのも重要です。
処女膜強靭症によって痛みを感じる場合は、手術により痛みが改善します。
処女膜切開手術は、痛みの原因となる処女膜靭帯の硬い部分を切除し、スムーズに挿入できるようにする手術です。
手術で切開する場所や程度は人によって異なるため、当院では事前に丁寧にカウンセリングを行っています。
処女膜切開手術について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください
アレルギー検査をおこなう
ラテックスアレルギーによる痛みの疑いがある方は、アレルギー検査をしてみましょう。
アレルギーが判明した場合は、コンドームでの避妊を中止し、ほかの避妊方法を検討しましょう。
避妊方法には、経口避妊薬（ピル）や子宮内避妊用具などがあります。
不安な方は、産婦人科などの専門の医療機関で医師に相談するようにしましょう。
レーザー治療を受ける
膣の乾燥や性交痛の改善には、レーザー治療が効果的です。
レーザー治療は、痛みや出血をほとんど伴わないにもかかわらず、膣の引き締め効果があるからです。
加齢や更年期に伴い女性ホルモンが減少すると、膣粘膜が薄くなり乾燥しやすくなります。
膣壁細胞にレーザーを照射することでコラーゲンの新生を促し、薄くなった膣粘膜を再生させます。
膣粘膜が再生されると、膣がうるおいやすくなり、性交痛が緩和されるのです。
そのほかにも、レーザー治療には以下の効果があります。
- ・セックスの際の感度向上
- ・膣のゆるみ改善
- ・性交痛の改善
- ・膣の乾燥改善
当院では、レーザー機器の中でも最高峰の治療効果をもつ「インティマレーザー」を使用した治療が可能です。
インティマレーザーについては、こちらも参考にしてください。
まとめ
入り口付近の性交痛の原因は、膣の乾燥や処女膜強靭症、感染症などの身体的な原因から、心理的な問題までさまざまです。
性交痛は、人生や生活の質を左右する重要な問題です。そのため、痛みを放置せず、早めの適切な対処が必要です。
たとえば
- ・潤滑ゼリーの使用
- ・レーザー治療
- ・パートナーへの協力依頼
- ・各疾患のを治療
をすることにでよって痛みの改善ができます。
「身近な人には相談しづらい」「正しい対処方法がわからない」という方は、専門の医療機関に相談してみましょう。
当院は、女性器の悩みに特化した専門のクリニックです。
カウンセリングから施術まで女性院長が担当するため、初めての方でも安心して治療を受けられます。
あなたの悩みに寄り添い、最適な治療をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
満行 みどり
略歴
国立佐賀医科大学（現佐賀大学）医学部卒業。その後九州大学医学部付属病院第二外科、佐賀県立病院などで外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
聖心美容外科東京院、大阪院、福岡院にて勤務後、横浜院院長、全国診療医長を歴任。
婦人科形成、脂肪吸引を始めとする多くの症例に携わる。
レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。また「女性器形成」「女性性機能障害」のスペシャリストとして、様々な論文執筆、講演会、ドクターへの指導を行う。
資格
所属学会